「パン」

「空腹な人」と「お腹いっぱいの人」の目の前に「パン」がある。

どっちが「パン」をgetできるか?


1.「お腹いっぱいの人」が「パン」をゲットし、「空腹な人」が猛烈に悔しがる。


ってこともあるし。


2.「空腹な人」がパンをgetし、「お腹いっぱいの人」が《よかったね》っと笑っていることもある。


この話は、「能力は欲求に比例する」という仮説を立て。その仮説を既存の哲学や考え方に頼らないで、自分自身が納得できるだけの理由をこしらえようとしたんだけど。
どうやら、単純に設定した状況でも、結果は複雑なものになる可能性を含んでいる。

「能力」にも「欲求」にも「単純な設定」にも、バックグラウンドがあり、未来があり、例外がある。

おまけに人には「個性」があり、「年齢」があり、「職業」があり、、、etc

うんざり。


でも「信じる」ためには「考える」必要がある。


どっちにしろ!どっち側にいようとも!どんな状況で、どんなバックグラウンドがあろうと。

「パン」をgetするしかない。

横で猛烈に悔しがっている人がいようと、《よかったね》なんていわれようと。だ。







っていうのが「利己」。自分がよければそれでいい。


これは今の僕で。どうやらあんまり良くない。というか、、恥ずかしい。


できればその反対の「愛他」でありたい。


「空腹な人」と「お腹いっぱいの人」の目の前に「パン」がある。

どっちが「パン」をgetできるか?


1.「お腹いっぱいの人」が「パン」をゲットし、猛烈に悔しがってる「空腹な人」に「パン」をあげる。


2.「空腹な人」がパンをgetし、「お腹いっぱいの人」が《よかったね》っと笑っているところに、「パン」をあげて戸惑わせる。


全部あげなくても、半分に割って大きい方でもいい。


「愛他」的な物語。



こうやって「利己」と「愛他」のバランスを取ると、ドラマチック∧ハートウォーミング。

いやまてよ!

「空腹な人」と「お腹いっぱいの人」の目の前に「パン」がある。

どっちが「パン」をgetできるか?


2.「空腹な人」がパンをgetし、「お腹いっぱいの人」が《よかったね》っと笑っているところに、「パン」をあげて戸惑わせる。


【戸惑ったふりをした「満腹」は「腹ペコ」に《ありがとう》もいわず、「パン」を奪い去って行ってしまった。】


(ヒドイ!)

【「腹ペコ」は、「満腹」の背中を見ながら、泣いた。】

(ヒドイ!!)

【「満腹」は「パン」を持って、急いで「飢餓」のいる町へと行き、すぐに「パン」を「飢餓」に与えた。「飢餓」は泣いて喜んだ。】

(めでたし?めでたし?)


【それを見ていた「私」は、「満腹」に《君は、満腹になるまで「パン」を食べ続けたが、その一部を「飢餓」または「腹ペコ」に与えようとは、思わなかったのか?》と聞いた。】

(さぁ。どう答える?)

【「満腹」は言った《あの「パン」のおかげで、「飢餓」は今も生き延びている。お前はそうやって外から見て、文句ばっかりいってる!》】

(何!?)

【「私」は言った《いや。あのね。「私」はこうして物語をキーボードを打って書いてるのであって、そっちの世界にはいけないのだよ。要はね!「飢餓」を助けたいと思っても、できないわけ。》】


【「満腹」は言った《じゃあ、始めからアンタに文句を言う筋合いはない!そもそも俺も、「飢餓」も「腹ペコ」も、全部アンタが作ったんだろ!その責任はどう取ってくれるんだよ!俺だってなりたくて「満腹」になったんじゃない!「飢餓」はもう少しで命を落とすところだったんだぞ!》】

【「私」は言った。《いや。すまなかった。確かに君の言う通りだ・・・・。君がなりたくて「満腹」になったわけじゃないってホントにその通りだ。「私」の不完全な物語に君たちを巻き込んでしまって大変申し訳ない。一つだけお願いがある。この不完全な物語をすこしでも完全なものに近づけていく手助けをしていただきたい。君に「私」の書いた物語を書き換えてほしいんだ。今度君がたくさんの「パン」にありつき、「満腹」を維持するチャンスに出会った時、少しだけ「パン」を「飢餓」や「腹ペコ」に分けてやってくれないか?君がこれまで、「パン」を手に入れるのにどれだけ苦労してきたか、これからどんな大変なことがあるかわからない。もう「私」は一切文句を言わないと約束する。》】


【「満腹」は言った。《おいおい、冗談はよせ。俺はパンを腹いっぱいに食べる事で、「満腹」でいられるんだ。俺が俺であるためには、今までどうり腹いっぱい「パン」をたべなければいけないんだ。「飢餓」が「飢餓」たる由縁は、俺がさっきみたいに気まぐれに「腹ペコ」から奪った「パン」を「飢餓」にやるから、「飢餓」は「飢餓として生き延びているんだ。「腹ペコ」だって「パン」を奪われても泣いてすむ程度のもんだから「腹ペコ」なんだよ!そうだろ!アンタが考えたんだろ?》】


「満腹」「腹ぺこ」「飢餓」を前提として考えられた世界では、その前提を維持すべく時が進んでいく。


世界のほころびを修正するために前提を崩すことを試みる。


前提条件が崩された世界では、「満腹」は「満腹」ではなく、「腹ペコ」は「腹ペコ」ではなく、「飢餓」は「飢餓」ではない他のなにか。新しくできた不完全な世界を、スムーズに進めるための新たな呼び方が開発されるだけ。




「腹6分目な人」と「腹四分目の人」の目の前に「パン」がある。

どっちが「パン」をgetできるか?


うんざり