文化庁メディア芸術祭 IN国立新美術館

WEB・ゲーム・漫画・アニメ・映像・平面作品など多岐に渡るジャンルでの展示は、質・量ともに見ごたえのあるものだった。
表現媒体の技術的発展があたらしい表現方法をうみだしている。
広告代理店的なコンストラクトフォトがおおく、画像加工ソフトの品質の向上を感じ、デジタルフォトコラージュの新たな可能性を感じる作品も多くあった。
環境問題に関するテーマの作品が多く、啓発的な内容を感傷的なストーリーを用いて表現している作品もあった。
どの表現媒体であっても、リレーショニズムやアプロプリシエーションの技法を、新たに登場した媒体をもちいて発展させている傾向にあると感じる。
「未来へのつながりを体感できる」というテーマ設定からもわかるように、次世代の情報環境の
可能性を示唆しているような展示になっている。バロック的サーフェイスが生まれるのではないかと感じさせるぐらい、さまざまな画面における情報の表示方法が生み出されている。

アニメーション作品の『積み木の家』には感動してしまった。
水没していく都市の中で、レンガを積みながら搭状の建築を建てながら生き延びている老人が、酸素マスクを手にいれ、既に水没してしまった部屋をひとつひとつ、過去を回想しながら、下へ下へと下がっていく。

そのとき過去を想起させるキッカケになっているのは残された家具であったり、ちいさなワイングラスであったりする。
そのときあくまでも建築は背景であるけれど、垂直に蓄積されていく部屋には同時に記憶をも蓄積していく。とてもきれいなアニメーション作品だった。