『花とアリス』 監督 岩井俊二 

[rakuten:book:11602640:detail]仲良し女の子二人組の話、「ハナ」は思いを寄せる先輩が頭をぶつけ倒れるところを目撃する。意識が戻った先輩に、先輩は自分に興味があった事実を記憶喪失をもって偽装する。「ハナ」は親友アリスを先輩のモトカノと捏造する。「ハナ」「アリス」「先輩」は複雑な三角関係になる。


非現実的な世界(設定)を現代女子友情的リアリズムを用いいて、表現している点に、青木淳氏の青森県立美術館における、レンガ壁内のアーチ窓のディテールとの創作における類似点をかんじる。
ベルグソンの『物質と記憶』における、認識論にのっとったかのような、認識論的偽装を成立させている点に共感を持つ。
超飛躍的なイメージを、あたかも現実でであるように、具体化していくプロセスの類似を感じた
ストイックなモダニストの素材に対するデリカシーをあざけ笑い、リアリストたちのリアリストたる由縁を疑いにかかる姿勢に共感する。
体感することををとうして印象論を価値判断軸とする姿勢は、その短絡的思考をもって非常に現代的と感じ、より多くの共感を導き出してる。
フーコーの同時代的影響はジャンルをこえた範疇において明確にあぶりだすコトが可能であるように感じる。

青森県立美術館は、美術館というプログラム上、非日常的空間であることが可能であり、映画の中に描かれる世界は、その形式から、もちろん非日常の演出に過ぎない。
そういった観点からアドルフロースの『装飾の罪悪』における素材へのデリカシーは住宅(日常的空間として)においては評価できるのではないか?

露悪的な素材への姿勢への魅力を感じずにはいられない。

物質と記憶 (ちくま学芸文庫)

物質と記憶 (ちくま学芸文庫)

装飾と罪悪―建築・文化論集

装飾と罪悪―建築・文化論集