東京建築コレクション2009 『東京を語る』  二川幸夫 IN代官山ヒルサイド・プラザ

代官山ヒルサイド・プラザへ建築写真家二川幸夫さんの講演会を聞きにいく。

『東京を語る』という題目であったが、明治における都市計画が、江戸時代の都市を受け継ぎ保存することをしてこなかった現在の東京の姿は美しくないと酷評。

現代の日本の建築家や、建築教育のありかたは間違っているという二川さんの俯瞰的な指摘は非常に的を得ていて、聞いていてすっとした一方、そのような建築観に甘んじていた自分に危機感を感じた。

建築は学問ではなく、実際に建築を見に行くほうがよっぽど勉強になるというのはおっしゃるとうりである。
同じ材を使っていても、使い方によって違うものに見える事があるというような発見は、とことん建築を見てこられた、二川さんならではの指摘である。
また材料の違いは、同じスケールの空間においても、圧倒的に空間を違ったものに変える。

いい建築がなくなったら自分も自然消滅してしまうという危機感には覚悟を感じ、二川さんの建築に対する汚れない姿勢は非常に力強く感じた。

建築の見方自体に疑いを持ち、自分なりのシナリオにおける、歴史の再構成をすることにより、建築における価値観をまぎれもなく個性的なものにすることが、産業社会において、いまだ大量生産ではない建築のありかたを裏付ける。

『だまされましょう勝つまでは』の姿勢で、同じ建築に足蹴もなく通うフットワークの軽さと粘りづよさがあってこそ、建築家以上に建築に対して真正面から向き合うことができるのだろう。

どうせ金儲けできる職業じゃないんだから、徹底的に建築とむきあって建築を作ればいいんだよとは力づよい。

サービス精神旺盛でこわい二川さんは圧倒的に魅力的だった。