『ルイスカーン建築論集』  新学期始動

今日はゼミの第一回目。
ゼミの読書会はSD選書『ルイスカーン建築論集』、レジェメ作りの会議。十章を十人でひとり一章づつ分担。

僕は第一章目だけをよんで、今日のゼミに参加。
勉強不足でほとんどカーンのことは知らずにいたが、教授の説明にものすごくひきつけられるところがあった。
 
カーンは50代から建築家としての名声を得るようになった、まれにみぬ遅咲きの建築家であった。

アメリカにおける移民であり、けして上流階級ではないところからのスタートをきったカーンは、最初の一手をどのようにはじめたらいいのかということを、自分なりに非常に綿密考え抜いていたという背景を持つ。
詩的な文章で拒絶反応がでそうになったが、ルイス・カーンの人となりを聞いているうちにどんどん、急ぎ足で読んだ一章がどんどんふにおちていく。

その自分自身の問につきあっていく集中力ある姿勢には圧巻される。
本書の特殊な点は講演などの音声を記録したものを書籍化しているという点にある。
ハイデガーの理論に裏づけられた、非常に論理的な注釈がなされておりカーンを理解する手がかりをあたえてくれる。
じっくりつきあって損のなさそうな本みたいだ。




教授の「電気をつかっているものは、遊びに過ぎない」というのはするどすぎてはっとさせられる。ドゥールズの「情報は汚れている」というテクストをもとに解釈の解釈のナンセンスを説明されると手も足もでなくなってしまい、未熟さを実感する。

「不易流行」を、「不易」を干物「流行」を生ものにたとえ、なまものばかりたべているとおなかをこわすぞといわれると、もうおっしゃるとうりです。おなかをこわすことを恐れるのではなく、干物をダシにだれも食べたことのないようなおいしいスープを作ろう。

ルイス・カーン建築論集 (SD選書)

ルイス・カーン建築論集 (SD選書)