『日常的実践のポイエティーク』 第三部 空間の実践  第7章 都

操作概念?
 
 ユートピア的、都市計画的なディスクールによって創設される「都市」は、3つの操作可能性によって規定されている。

(1)ある固有な空間の生産。合理的組織化をはかることによって、この空間を脅かすおそれのあるありとあらゆる物理的ないし政治的汚染を抑制しなければならない。
(2)伝統に根ざしたとらえがたく頑迷な抵抗に対しては、非ー時間、あるいは共時的ジステムを代置すること。「機会」につけこみ、可能性の盲点である出来事ー罠に乗じていたるところに歴史の不透明性をもたらす使用者たちの戦略にとってかえて、あらゆるデータを同一平面上に併置することによって可能となる一義的な科学的戦略をもってこなければならない。
(3)最後に普遍的主語[主体]の創造。この主語とはほかならぬ都市そのものである。このような主体の政治的モデルであるホッブスの国家についてもそうできるのと同様に、こうした主語としての都市を創造すれば、それまではあちこちに散在し、集団や協会や個人といった多様な現実的主体にむすびついていたもろもろの機能と述辞のことごとくを都市に帰属させることができる。このようにすれば「<<都市>>なるもの」は、まるで固有名詞のようなあんばいに、固定していて、きりはなすことができ、しかもたがいに結合可能な一定数の特性をもとにして空間を構想し構築する可能性をきりひらく。

共時的システム 単純にある時点でのまとまりや仕組みの全体

現に人々が住む街は、一望監視的な権力の外で結ばれあったり補いあったりする矛盾した動きにゆだねられている。
都市をイデオロギー化するディスクールのもとさまざまな力の組み合わせと策略がひしめきあっているのだ。読みうるようなアイデンティティももたず、とらえようにもつかみどころがなく、理性の透明性ももたないさまざまな力ー管理不可能な力がいたるところにひしめきあっているのである。