『黒手帳に頬紅を』  作・演出 唐十郎  IN紅テント 花園神社

新宿の花園神社へ、唐組の演劇を見学しにいく。
神社の境内に、巨大な紅テントが張られ一気に60年代にタイムスリップしたような気分になる。
かっこいい!
お客さんは、若者、親子づれ、カップル、おばちゃん、おじさん、ヒゲをたっぷりとはやしたおじいさんまで、ずいぶん幅広い年齢層がきているのが、以外!
ハートウォーミングな演劇をするのかなという予感とともに受付へ。
がっ、受付嬢の顔が白塗りなのを見て一気にハートウォーミングな演劇への予感は消え飛ぶ。
すこし安心。だれも、中国に旅行にいって、イタリア料理を食べにはいかない。
顔を白塗りにした女のヒトからチケットを買い、いざ紅テントへ。
会場はヒトの熱気でもわっと二酸化炭素のにおい、地面にしかれたシートの上に座る。

テントの皮膜越しに車の走る音や、パトカーの音がする、ここは新宿のど真ん中。

音楽が鳴り照明が落ち、演劇が始まる。




演者がせりふを言いながら客席に分け入り、背景のセットがのけ、花園神社が見える、花園神社を背景にラストシーン、照明が落ち幕が閉じる。
舞台が三重にかさなったまま、照明が客席を照らす。


演劇ド素人には、かたくて噛み切れない、水気がなくて飲み込めない、味が苦くて舌がピリピリする、消化不良でうなることしかできない。


頭が混乱しているとき。
理不尽な目に会ったとき。
いつもきまって博多天神にいく。
ラーメンをたのみ。

はじめは集中して味を確かめながら、できるだけゆっくり食べ、

一回目の替え玉で、紅しょうがをいれ、起こったことをひとつひとつ思い出しながらたべ、

二回目の替え玉で、辛い若菜のトッピングをいれ、いっきに頭を整理しながら、同時にいっきに麺をすする。

おなかいっぱいになったらお金を払い、さっと店をでる。
頭のなかはすっかり整理され、物事は論理的に消化される。
(半分はホントで半分はうそ)



中国でたべる中華が100パーセントおいしいわけじゃなく、日本で食べる中華のほうが、日本人の舌にはあっていることもある。

アンダーグランドのものが好きかとおもっていたけど、アッパーグランドのアンダーグランド風のほうが好きかもしれない。




5/11追記
僕がはじめて演劇をみにいったのは、高校三年生のときに下北沢のとてもちいさな劇場でみたチエホフの『かもめ』だった。どんな名前の劇団がやっていたのか、さっぱり忘れてしまったけど、とにかくチエホフの『かもめ』の戯曲がすきですきでしょうがなっかった。ロシア文学が好きになるきっかけだった。
「どうしていつも黒い服なんです?」
「人生の喪服なの、私、不幸せなおんなですもの。」
という始まりの文章は、いつになっても頭からはなれなかった。黒い服を着ている女の子を見るといつも同じ質問をした「どうして(いつも)黒い服なの?」
不幸せなわけでもなく僕もいつも黒い服を着ていた(笑)
ここは19世紀末の帝政社会崩壊前夜のロシアではなく、21世紀の日いずる国ニッポン。
もっと明るい服を着たほうがいいと、つっこまれた。わかってないなぁ(わかってないのは自分だ。)
演劇をみにいったのは最初のセリフをどうやっていうのかを、ききたかっただけかもしれない。
その演劇の中では、最初のセリフを、あんまりにもサラリっといっていたので拍子抜けしたのをよく覚えている。
主人公(?)役の女のヒトがとても美人で、声がすごくちいさく、かすれていた。
休憩時間にワインをふるまっていたのが、おかしかった。こういうと語弊があるけど下北沢の小劇場に白ワインはにあわないとおもった。(生意気な高校生だった)
戯曲を読んでいるときに、頭の中で浮かべていた、セリフの調子との違いに驚きながら、演劇を楽しんでいた。

それ以来なので4年ぶりに演劇を見にいくことになる。唐十郎さんの事はほとんどしらず、『黒手帳に頬紅を』の戯曲を読んだことがあったわけでもなかったので、アングラなにおいをたよりに、おびき寄せられて見に行くことに決めた。もっと毒久しいものを見れると思っていたけど、おもった以上にまっとうだった。(が、夜にはしっかり悪夢をみて金縛りにあった 汗)
音響はテープでやってるいるらしく(うしろのカップルの男の子が得意げに説明していた、、へー )ツーっと巻き戻しの(早送りの)時のテープがすれる音がした。
唐十郎さんが舞台に立つと空気がガラッっとかわった。やわらかく濃厚になる。akadamaワインみたいに甘くなる。

主人公の役者さんは、目の下のクマが狂気だった。
劇中歌の「でもねー ほんとはねー」は聞き覚えがあった。デジャブ?